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各論

歯シリーズ2 各論

■ ■ ■ 詰め物・修復 ■ ■ ■

修復しても、一生物ではない

保険内と保険外の詰め物、どう違うの?
 歯の外側はエナメル質という固い部分でおおわれていて、その中の象牙質や歯髄(神経)を守っています。
 象牙質は柔らかく、細菌が入り込みやすい性質があります。むし歯や、歯がかけたり、すり減ったりして、象牙質が露出すると、なにかエナメル質のかわりになるもので保護しなければいけません。詰め物、かぶせ物がそれに当たります。
 よく見かけるのが、銀色の金属のインレー(穴に修復物をセメントで合着させる方法をインレー修復といいます)。主に奥歯に用いられています。目立ちやすく、金属の種類により腐食することがあるのが難点です(保険内)。
 保険内でも、白い色のものがあります。コンポジットレジンは、歯の色に近いプラスチック。力が加わる場所には適しませんが、奥歯でも、狭い範囲なら使用できます。多少摩耗しやすい傾向にあります。
 保険内の作業はどうしても、歯と詰め物の間にすき間ができるなどの限界がありますが、保険外になると、素材の質や仕上がりに、かなり差が出ます。
 ゴールド色のインレーは、白金加金(ハッキンカキン)という合金で、科学的、物理的、理工学的に優れた性質の金属。天然歯の硬さに近いので、かみ合う歯もダメージを受けにくいのが特徴。伸びがあるので、歯とのすき間が小さく、よくなじみます。
 また、セラミックのポーセレンインレーも、自然の歯に近い質感、色が出せます。強度もあり、奥歯にも使えます。ポーセレンは、ラミネートベニア(前歯の色や形が気になるとき0.1〜3mmの薄いポーセレンの板を歯の表面に張る、つけ爪のようなもの)にも使用されます。
 虫歯が進み、ほとんど歯が失われている場合、根管治療をして使用できる見込みがあれば、まず歯の根の治療をし、そのあとに歯冠の修復を行います。この場合は、修復物を、根の中のしっかりとめるために、歯根と歯冠をつなぐコアという金属の芯をつくります。これを支台築造(しだいちくぞう)といいます。
 コアは歯の土台。この部分がきちんとしていなければ、その上にいくら立派なセラミック冠などをかぶせても、うまくものが噛めません。あとで具合が悪くなることもあるので注意を。
 さらに歯根が使用にたえない場合には抜歯しますが、その欠損部をおぎなう補綴(ほてつ)処置が必要です。手段としては「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」があります(※内容については次回)。
どんな歯もすり減る

 天然歯も人口歯も、その人の食生活、くせ、咬み合わせ等で期間は違いますが、どんなものでもかならず、すり減っていきます。
 目に見えるようなトラブルがなくても、実は摩耗し、本来の機能を果たさなくなっていることも。
 大抵、「この歯の調子が悪い」と思うときはそこだけではなく、ほかの歯も悪くなっているもの。結果、歯科で「この歯もあの歯も治さなければ」と指摘され、ビックリする人が多いのはこのためです。
 修復した歯でも、それが一生維持できるのではないということを、十分理解して、日ごろからこまめに歯科医院に行って、将来起こり得るかもしれないトラブルに前もって対処しておくことが大事です。 
 




取材/Kawasaki Dental Office(川崎歯科医院)
川崎俊明 院長

TEL 096(352)8008

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