近ごろ感じる違和感の謎がケルンで解けた、
気がする。
2007年4月 taka
2007ケルンIDSに参加して
これはバブルかもしれない
4年前の2003年と比べてこの2007年のIDSをどう感じたか。素直に心に鳴り響くのは上記「バブル」という単語であった。ブランドと技術を持つヨーロッパの老舗企業の多くにアメリカ資本が豊富な資金を投入した結果、どことなく全員が浮かれているような、そんな空気を感じ取ったのである。
2007年現在、世界中が好景気に沸いているのだから、それは歯科業界に限った話ではないのかもしれない。しかし業界に入った直後から20年近く続いている歯科業界の不況に身を置いた目からすれば、まるで会場全体がITバブル時代のパーティのような装飾に彩られている気がしてしまったのである。
株価高騰に沸くノーベルバイオケア、kavo,kerrなどを傘下におさめたダナハーグループ、M&Aで世界一の大規模を続けるデンツプライ、審美修復で突っ走るIvoclar-Vivadent、手堅くも新規分野に旺盛なヘレウス、世界戦略のシロナ、とにかくカラフルなEMS・・・ざっと見渡すだけでも会場内に広大な陣地を張る大手企業は皆どこも派手なディスプレイや演出で場内の客を引き寄せている。
夜になればケルン市内各所でメーカー主催のパーティが開催されている。世界中のセールスマンを集めての一大パフォーマンス、ディスコ大会から飲めや歌えの大宴会。私も呼ばれもしないのに友人の同伴として、あちこちに顔を出し続けたわけであるが、ただ酒に酔っぱらいながらも、これはやっぱりバブルなのではないか、と確信し続けてていたのである。
バブルの定義といってもいろいろあるのだろうが、簡単に言えば実体経済から浮き足立ったお祭り現象ということになるのではないか。我々の業界でいう実体とは、つまり歯科医療、歯科臨床のことである。しかるに目の前で繰り広げられている世界中から集まった営業諸君の宴会は何なのだろう。そこには医療業界のはしくれというセンスのかけらも落ちていない気がする。さあ売りましょう、儲けましょう、なぜならこれは夢だから、いつ醒めるかわからない夢なのだから。そんな感じ。
失われた10年をなんとか生き延びてきた僕ら日本人が、ただ呆然としながらも脳裏に確実に刻まれた「行く川の流れは絶えずして」というフレーズが、やはりこの先のことを考えて、さあてオレはどうすべきなんだ?という自問をもたらすのである。
これこそがたまに海外に出てみる効用の一つといえよう。お祭りに参加するのもよし、ひっそりと祭り後に備えるもよし。あるいは今まで通り適当に対処しておくもよし。
しかしここへきてみなければ、わからないことがある、できないこともある。
今回は、こうやって外に出ることはその意味でとても重要であることを再認識した旅であった。