独断的 IDS2003レポート by OURDENT

2003.03.25-26 in koln,Germany

OURDENTではイラクの戦火をかいくぐってドイツはケルンへ、13年ぶりにIDS会場に潜入してきました。
言語的不自由をものともせず、あちこちのレストランからのビールとソーセージの誘惑に負けながらデジカメをパシャパシャしてのレポートです。 ということで、たいした内容にはならないわけなんですが、会場の雰囲気だけでも感じていただければ幸いです。
それぞれの写真をクリックすると別ウインドウに拡大いたします(画像サイズはすべて800×600です)。
それではごゆっくりヨーロッパの雰囲気をお楽しみください・・・・
(写真はすべてオリンパスC700UZにて筆者が撮影)

株式会社モリタ株式会社ジーシーノリタケデンタル株式会社クラレメディカル株式会社愛知製鋼
モリタはユニット類も展示、ヨーロッパでの売込姿勢に目立つものがありました。スペースラインセプタス、3DXもしっかり前面に押し出しての活躍でした。ドイツには長く拠点もありますからね。こちらはジーシー。すっかり日本企業というよりもベルギー企業として参戦している感すらあり。独特のパラソルで華やかな印象を。グラディアダイレクトなどに力が入っておりました。グラスアイオノマー発売25周年ということで様々なイベントも。ノリタケさん。どちらかというとおとなし目に展示、しかし今やジルコニア用陶材で世界中の注目を集める日本企業なのであります。こちらはクラレブース。故・増原先生の顔写真を特大でアピール、日本の得意分野である接着技術をビシッとアピールされておられました。愛知製鋼さん。いろいろと国内でも話題を振りまいておられるわけですが、こちらの会場でも妙齢の女性が和服姿で参戦、これまた話題に。トヨタグループ、の文字が光る。
株式会社ニッシン
IDS初登場のニッシン。得意の模型を始めとして、コンピュータを使った教育マシンも展示。意気込みを感じます。荷物置かせてもらってありがとう(^^ゞヤマハチさんも展示に来られたのか買い付けに来られているのか分りませんが、立派なブースを展開中。社長の息子さんと会いました。トクヤマデンタル。大企業のわりには控えめな展示でありました。さてここからは海外メーカー。まずはノーベルバイオケア社。最近のイケイケムードは十分に感じられました。このプロセラの非常に小さなスキャナは会場内外で話題に。こちらはサテレック社。これまでスプラソンP-maxの名称は日本国内だけでしたが、海外でも同名で、しかし格好の違うマシンが登場するようです。
kerrHawe社のブース。K3、LEデメトロン、ポイント4などの日本でも話題の製品に加えて、まだ謎の製品がわんさか。こちらはシロナデンタル。C5などが展示されておりました。ヨーロッパではやはり絶大な人気を誇っているようです。 こちらは3MESPE社のCAD/CAM。今回の展示会で各社がもっとも力を入れていたのはこのCAD/CAM。11社くらいあったようです。
他に唾液検査システムにも本格参入。
BEGO社も同じくCAD/CAM。ブレーメン版プロセラというところか。それにしても向こうの営業マンって金髪ロン毛なわけですな。当たり前かもしれませんが。日本だったら・・・最近だとアリかもしれん・・・ こちらはクインテッセンス。本国ですからね。佐々木社長も堂々とくつろいでおられました。

これはデンツプライのジルコニアのCAM、CERCON。いろんなところで話題が沸騰中。でもよく見るとCADではないのね。それにてもデンツプライグループのブースは広かったです。意外な会社がグループだったりしてて・・海外ではM&Aは普通なんですね。こちらは日本でもおなじみソニッケア。電器メーカー大手のフィリップスの商品(になった)わけですが、ここの宣伝は凄まじい。なんせ無料で配っちゃいます。そのため長蛇の列が。ちょっと会場を離れてケルン大聖堂に登ってみました。ふうふう言いながらてっぺんまで上り、望遠目一杯で狙ってみると、デンタルショーの会場が。こうやってみてもやはり大きな会場ですね。 さて、ドイツといえばkavo。前回程とはいえませんが、大きなブースを展開。新しいタービン、CAD/CAM、と話題はここでも豊富でした。しかし圧巻はオゾンでカリエス進行を止めるという謎の新機械HealOzone・・・考えようによってはめっちゃ画期的!
右の写真はCAD/CAMのEveresシステム。ヨーロッパはやはりレジン類よりもセラミックに対する信頼が深いような・・そんな感じを受けました。だからこそCAD/CAMも一般的に。また技工士さんの人件費の問題もあるのかな。日本は安すぎるのかも。
こちらもご当地ドイツのヘレウス・クルッツァー社。ビーナスという審美レジンが話題に。パートナーシップという言葉をキーワードに業界や臨床家との連携を呼びかけておりました・・・国内のイメージと違うよーな。こちらはアメリカ軍団のブース。アメリカ、ロシア、韓国などは国単位でまとまってブース展開しておりました。そこらあたりは日本企業とは違ってなんか勢いを感じてしまいます。なんせ戦争中ですし・・・米国はヒューフレディー社。それにしても外国の会社のブースって一様に格好よく見えてしまうのは何故?色使い、フォント、光の使い方・・いろいろ参考になるところがありそうです。イボクラールビバデントも負けじとでかいブースを展開中。ブルースブラザーズまで動員される中、なにやら日本が聞こえてくるな・・・と近づいてみれば我らが佐々木正二先生が日本語でデモを行われておりました。なんか意味も無く嬉しかったりもして。それにしてもイボクラールって大きな会社なんですね。白水貿易さん頑張って国内でも紹介して下さい、と。
こちらはロシア・ブース。なんとなくシベリアの雪原を感じさせます(謎)。ロシアの歯科器材なんて日本に殆ど紹介されてませんからね。新鮮です。こちらは隣国である韓国軍団。まさしく軍団の名に相応しいイメージ統一ぶりです。商品の売り込みや商談にもエネルギーを感じてしまいます。次回から日本も統一ブース作ったら良いのに、でなきゃ負けてしまうよ、と思いました。スイスはミクロナ社。今回思ったのは「ユニットはいろんなところが作っている」ということでした。ブラジルの20万円を切るユニットとかも出てましたし。国内ではユニットは特別視されすぎているのではと感じました。もっと普通に販売できればよいのに。大信貿易でおなじみ、ITIのストローマン社。こちらヨーロッパでもインプラントは完全に市民権を得て、各社の売上の目玉となりつつあるようです。ブリーチングやエンド商品でおなじみのウルトラデント社。ペリオポケットをレーザーで処置する新製品が話題を呼んでおりました。国内で思うよりもいろんなメーカーがいろんな商品を出している・・というのが今回の感想です。
   



●旅の感想●

2年に一度行われるIDS、今年はケルンメッセ13〜14号館において、51カ国1400企業団体を集めて開催されました(前回は43ヶ国、1300企業)。
参加企業のうち、59%がドイツ以外の企業だったようです(前回55%)。
1週間にわたる開催期間における参加者は132カ国から63,000人に及びました(前回比107%)、そのうち15%が歯科医師で22,000人、歯科技工士は16,000人だったそうです。やはりイラク戦争のおかげで、参加者の中でアメリカ人がかなり減ったようですが、日本からの参加者もずいぶん減ってしまっていたようです。実際に渡航した感触では北朝鮮危機のある日本よりはイラク戦争に反対しているドイツのほうがよっぽど安全だ、という意見も多く聞かれましたが・・・

上の記事にも書きましたが、CAD/CAM、審美がらみの製品(セラミック・コンポジットなど)、インプラントなどの最新機器が幅広く各社の目玉になっていたようです。光重合器もLEDタイプがすっかりその主流となり、多くのユニットにもオプションとして組み込まれ始めていました。

日本に紹介されていない様々なメーカー・企業のブースを見て歩くと、この業界も世界中で商売できる世界なのだな、と思いました。
その半面、日本では薬事法などの様々な規制が今後強化されていくとも聞きますし、はたしてこのようなグローバルな競争の中での日本の位置はどうなるのだろう、という心配も起こりました。

保険制度や国内企業の保護などのある意味で社会主義的な政策で成功してきた日本も、これからは十分に育った国力を背景に、次の段階の挑戦を始める時期なのではないでしょうか。アメリカ的な資本主義で全てが解決するとも到底思えませんが、しかしそこから目をそらし、国内に引き篭もってばかりいても何も生まれないような気がしました。どん詰まりに思える国内の業界情勢でも、地球上の多くの国に比べるとまだまだ恵まれた環境に思えますし、逆にヨーロッパなどの一部先進国では、まだまだ旺盛な探究心で新しい技術や知識を探し求めていたりもしているようです。日本ばかりが妙に大人になった気分で、達観してしまっているんじゃないかな、そんな気がしました。

臨床家は国内を飛び出して、世界中で活躍を始めています。我々業界人ももっといろんなレベルで日本を飛び出して、彼らに置いていかれないように、逆に情報を与えていけるくらいの気概で頑張らないと、いや、そういう世界が僕らを待っている・・・そんな感想を抱いて帰ってきました。

今回の旅では、いろんな人に出会いました。短い出張でしたが、見たこと聞いたこと感じたことを、これからゆっくり噛み締めながら、また日常に戻り、こつこつ明日を開拓していきたいと思います。
粟津貴昭

REPORT OURDENT.COM MAIL 個人的ドイツ日記へ