お蔵出し目次       HOME

ガラスの仮面 概観



 私、「かもなべ」は2000年の年明け早々
「ガラスの仮面」の1〜41巻を一気買い&一気読みいたしました。

で、せっかくですんで、ちょっと各巻の版数、内容などを
まとめてみようかと思い、作りましたのが下の表です。

初版発行月 購入本発行月
版 数
前巻との間隔 表紙 演 目
76年4月 97年4月 --- マヤ 国一番の花嫁
75刷
76年7月 97年9月 3ヶ月 マヤ、亜弓 若草物語
78刷
77年2月 8ヶ月 マヤ
73刷 たけくらべ
77年5月 98年3月 3ヶ月 マヤ
77刷 ジーナと5つの青い壷
77年8月 97年7月 3ヶ月 マヤ
73刷 白い青春譜
77年10月 98年3月 2ヶ月 マヤ
71刷 古城の愛
王子とこじき・おんな河
78年2月 4ヶ月 マヤ、真島良
74刷 嵐が丘
78年6月 4ヶ月 マヤ
71刷 石の微笑
78年9月 3ヶ月 マヤ、亜弓
69刷 夢宴桜
奇跡の人
10 79年1月 4ヶ月 マヤ、亜弓
68刷
11 79年4月 3ヶ月 マヤ
68刷
12 79年8月 4ヶ月 マヤ、亜弓
68刷
13 79年12月 4ヶ月 マヤ
65刷 天の輝き
白いジャングル
シャングリラ
14 80年4月 4ヶ月 マヤ
61刷
15 80年6月 2ヶ月 マヤ
61刷
16 80年6月 2ヶ月 マヤ、乙部のりえ
60刷 カーミラの肖像
17 80年11月 5ヶ月 マヤ
60刷 夜叉姫物語
18 81年2月 3ヶ月 マヤ 女海賊ビアンカ
61刷 通り雨
19 81年5月 3ヶ月 マヤ、亜弓
58刷 我が作品No.707
愛しのオランピア
20 81年9月 4ヶ月 亜弓
58刷 ジュリエット
21 81年12月 3ヶ月 マヤ 真夏の夜の夢
54刷
22 82年3月 3ヶ月 マヤ
54刷 ふたりの王女
23 82年7月 4ヶ月 速水
56刷
24 82年10月 3ヶ月 マヤ
52刷
25 83年4月 6ヶ月 マヤ
52刷
26 83年6月 2ヶ月 亜弓
50刷
27 83年11月 6ヶ月 マヤ、亜弓
52刷
28 84年3月 4ヶ月 マヤ、速水 忘れられた荒野
46刷
29 84年8月 5ヶ月 マヤ、速水
46刷
30 85年2月 6ヶ月 マヤ、速水
42刷
31 85年8月 6ヶ月 マヤ
43刷
32 86年6月 10ヶ月 マヤ
39刷
33 87年3月 9ヶ月 速水
35刷
34 87年12月 9ヶ月 マヤ 紅天女
33刷
35 88年8月 8ヶ月 桜小路
32刷
36 89年9月 13ヶ月 マヤ、亜弓
26刷
37 90年10月 13ヶ月 マヤ、亜弓
28刷
38 92年3月 17ヶ月 マヤ、亜弓、月影
25刷
39 92年10月 7ヶ月 マヤ、亜弓
26刷
40 93年9月 11ヶ月 マヤ
39刷
41 98年12月 63ヶ月 月影、速水
1刷



さて、この表を作りつつつ、らつらと頭に浮かんだことを以下に記します。

連載の開始  76年なんですね。なんだか、もうすっかり大昔のことで、「それならあの、古典的典型的な少女漫画風の絵柄も納得できる」てな風に思ってしまいそうになりますが、それがそうでもないのです。
 いわゆる「24年組」(萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子ら)がすでにバリバリ書き始めていた頃で、古典的少女漫画から脱却しようという動きが出てきた時代です(75年「11人いる!」76年「風と木の詩」連載開始)この絵柄は当時としても結構古さを感じさせるものであったと思います。
絵 柄  で、その絵柄が、この長期の連載を通じ、現在まであまり変化していないというのは、ある意味すごいことだと思います。「少佐」がどんどん「おっさん化」してしまった近年の「エロイカ」・・・しかし、あれくらいの絵柄の変化があるのがむしろ普通なのです。
 90年代に入ってから(38巻あたり)は、さすがにちょっとテイストが変わってきますが(ちなみに、それまで真っ白だった単行本の側面が黒くなるのもここから)それもホント「ちょと」です。
 時々、思わず「プッ」と来てしまう絵があるのはご愛嬌ということで。しかしなぁ桜小路君の着てる物だけは何とかならなかったのでしょうか?
単行本の
発行間隔
 まず、目に付くのは3巻目が8ヶ月の間をおいて出ていること。実はこのマンガは当初10話程度で完結する予定で始まって、途中から長期連載へと方向転換したとのことですので、その影響ではないかと思います。
 で、次は「忘れられた荒野」あたりから次第に間隔があいてくること。これは
@直前の「ふたりの王女」でヒロインとライバルが舞台で初めて共演し火花を散らしまくって大いに盛り上げてしまった後で、それ以上のノリを作り出すのが至難であった
Aしかも「舞台が成功し、賞を取って紅天女候補へ復帰」という展開がみえみえ
B後には「紅天女」が控えている
・・・等などのことから、連載としてはかなり苦しい時期だったのでは?
 そして、とうとう41巻は5年以上の間が開くことに。最終回を読めるのはいったいいつになるのでしょう??
ヒロインに襲いかかる
数々の障害
「忘れられた荒野」編
 このマンガにおいてヒロイン「北島マヤ」は演劇の天才という設定になっているため、そりゃあもう順調に行けば各界から絶賛を浴びあっというまに大女優になってしまうわけで、これではお話になりません。で、作者はヒロインの前に様々な障害を設けるわけですが、それが特に「てんこもり」になっておりますのが「忘れられた荒野」編なのです。
 展開を盛り上げるため、この舞台が成功し賞を取らなければお話が終わってしまう・・・そんなところまでヒロインは追い詰められてしまいます。読者としては「どーせ最後はうまく行って亜弓と紅天女役を争う展開になるんでしょ、天才なんだし。早く紅天女編が見た〜い」と、作品から気持ちが一歩離れてしまいがちなエピソードなのですが、作者はそれを許しません。これでもかとヒロインを追い詰め読者を引きつけます。

 @ 事務所社長(商業主義)と演出家(芸術)の対立
 A 狼少女という役作りの難しさ
 B 演出家の鬼のしごき
 C 主演男優の彼女がマヤに嫉妬
 D 速水真澄(=紫のバラの人)がお見合い
 E 事務所社長が商業的に成功の見込める作品をぶつけてくる
 F Eにより「忘れられた荒野」が賞の選考対象外
 G 事務所社長による役者の引きぬき(←結局、ずぶの素人達が共演者に
 H 事務所社長に稽古場を追い出される
 I 事務所社長により場末の劇場に追い出される
   (社長自ら自分の会社の企画を執拗につぶしにかかった理由は
 J 特訓のため、一人山ごもりして遭難
 K 舞台初日が台風
 
でも、やっぱり全日本演劇協会最優秀演技賞取っちゃうんだよなぁ(笑)
表 紙   さすがヒロイン。「マヤ」が圧倒的に露出度が高いです。それに比べライバルの亜弓さんが意外と出てきておりません。速水真澄は、マヤとの距離感が近づくにつれて頻繁に登場するようになります。月影先生は90年代に入るまで一度も表紙なし。初代「紅天女」にしてはあんまりな扱い!?しかし、あんまりな扱いNo.1はなんと言っても桜小路君でしょう。第1巻からヒロインの初恋の人として登場してこっち準レギュラーで頑張ってきているのに、表紙に出たのは1回だけ。しかもソロ。1回くらいヒロインとのツーショットの表紙があってもいいような気がするんですが
単行本巻末のおまけ  全41巻中、巻末におまけのコーナーがあるのは5冊です。3、2122、23、24がそうです。で、これが結構この作品の歴史を物語ってたりするんですね。僕が推察するに作品の人気の上昇期とシンクロするのではないかと。
 3巻というのは上記の通り、長期連載へ作品が変質したターニングポイントですし(これは多数の読者支持の賜物でしょう)21〜24巻はヒロインとライバルが舞台で初共演し作品としておおいに盛り上がっていた時期なのです。
 それでは、おまけの内容を以下に記します

  3巻 「ガラスの仮面」扉絵特選ギャラリー
 21巻 美内すずえのすべて〜仕事場の1日〜仕事場公開
 22巻 イラスト・メルヘン「ニャンニャン狂想曲」
 23巻 もう一つの「ガラスの仮面」
 24巻 リンリン世界パントマイム・フェスティバル ハチャメチャ取材旅行記

 なんだか「好き勝手」という言葉を思い出してしまいました。リンリンというのは「すずえ」の「すず」に引っ掛けての一人称!?
版数について  版数について書こうと思ったんですが、初版の部数がわかんないとなんともいえないですねこりゃ。





お蔵出し目次       HOME