ご隠居ご隠居 源さん源さん
ゴッホ!ゴッホ!・・・。
どうしたい、源さん。風邪かい?
へ・・へい。昨日から咳が止まんなくって。
そりゃいかんな。ちゃんと養生せんといかんぞ。
ありがとうございます・・ゴッホ!
こじらせると、最近の風邪はやっかいだからね。
それになんだか、最近はおっかない病気が出てきてるじゃないですか。
おっかない病気?
へえ、なんでもインフルエンザのウィルスが脳に入ってくる病気だそうで「インフルエンザノーショー」とかなんとか。
ああ「インフルエンザ脳症」のことじゃな。
あ、それそれ。それでやすよ。なんでも下手すりゃ、死んじゃったり、深刻な後遺症が残ったりで、大変な病気らしいじゃないですか。
こないだの風邪のシーズンに、大きく取り上げられていたのぉ。
でしょう、あっしゃもう、おっかなくって。
実はな、源さん。あの病気、不思議な病気でな・・・。
へ?不思議って、何が不思議なんですかい?
それなんじゃが・・・・。
あ、ご隠居、あっしが風邪ひいてるもんで、また何か、もっともらしいこと言って、おどかそうとしてるでしょ。
こりゃ、なんじゃその「もっともらしいこと」ってのは。わしゃそんな悪趣味じゃないぞい。
へへへ、こりゃどうも。で、何なんです、その不思議な事って?
うむ。先ずな、インフルエンザ脳症で死亡した患者の脳を解剖してみてもな、インフルエンザウィルスは見つからないそうなんじゃ。
へ?だって、インフルエンザ脳症ってくらいでしょ、そりゃ変だ。
だから、不思議といっておる。で、第2の不思議がな、このインフルエンザ脳症、少数の例外を除いて発生が日本に集中しておるんじゃ。
日本に集中?!でも、インフルエンザって世界中で流行するんですよね。
毎年、所を変え、品を変え、流行しておる。
じゃ、なんで日本だけで起こるんです?
で、最近言われ始めておるのが、インフルエンザ脳症とは実は薬害ではないかという説じゃ。
薬害!
いかにも。疑われておるのは解熱剤じゃ。
はぁ〜、解熱剤が。
実はな、解熱剤で脳症を起こすというのは新しい話ではないんじゃ。
そうなんで。
1960年代にアスピリンを解熱剤として服用した患者が世界中で次々と脳症を起こして死亡する騒動があった。
ありゃま。
で、アスピリンは解熱剤として用いることを禁止されるようになったんじゃな。
薬も毒になるってやつですね。
ま、そうiいうことじゃ。でな、各国がアスピリンより作用が穏やかな解熱剤にシフトしていった中、なぜか日本ではアスピリンのみを規制したにとどまった。
はぁ〜。
アスピリンと体へ働きかけるメカニズムは一緒で、しかも効用がより強力な薬が今もそのまま使われておるんじゃよ。
素人が聞いても、なんか、やばそうな話ですね、そりゃ。
で、ようやっと昨年、厚生省は一部の解熱剤について「インフルエンザ脳症の重症化に影響している恐れがある」として使用禁止にしたんじゃが・・・。
ちょっと待ってくださいよ、ご隠居。ご隠居の話じゃ解熱剤が原因なんでしょ。
そう決めつけるわけにもいかんがな、「重症化に影響」という文言がこの場合、適切かどうかは、おおいに議論の余地があるんじゃないかのぉ。
なんでまた、そんなことになるんで?
一番、意地悪な捉え方をすれば、厚生省の責任逃れということになるかな。
う〜ん。
しかも、使用禁止になったのは一部の解熱剤だけじゃからな、アスピリンなんかより作用の強い薬は、今の日本、まだまだたくさん出回っておる。
いや〜、薬もよく考えて使えってことですかね。
医者も、患者も、もうちっと薬について考えた方がよいのかも知れんな。ところで源さん、あんた、咳のほうは止んだようじゃが・・。
は?!・・・ゴッホ!ゴッホ!
はっはっは。お前のカミさんが言っておったぞ、嫌な用事を頼むとすぐ風邪になるってな。
ご隠居〜。
わしの前でまで仮病を使うこともないじゃろ。第一、バカは風邪をひかないって言うからのぉ。
そう言うご隠居こそ、風邪ひいたなんて話しは聞きませんが。
バカもん、わしの場合は、強い意思でちゃ〜んと自己管理している、そのたまものじゃ!
ほんっとに、都合が良いんだから。なんか今、長生きの真の秘訣を教わったような気がしますよ。




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