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ご隠居ご隠居 源さん源さん
いや〜、ご隠居、今年も押し迫ってきましたね。
うむ。残すところ、あとわずかじゃ。
「よもやま話」もこれで今年最後になりそうですね。
そうじゃな、早いもんじゃのぉ〜。
どうです、今年を振り返って、世相を斬るってのは?ガンコ爺にはもってこいの話題じゃないですか。
こりゃ、誰がガンコ爺じゃ。
へへへ、失礼しやした。じゃ、いっそのこと、ど〜んと、20世紀を振り返るってのはどうです?
う〜ん、面白そうじゃが、そんなことすると、話が日露戦争まで遡るぞ。
はぁ〜、日露戦争。そりゃまた随分と古い。
古いったって、まだ100年も経っておらん。1904年に開戦して、翌年に終結しておるんじゃからの。
いや〜、しかし、東郷平八郎とか乃木希典とかが活躍した戦争でげしょ、そりゃ。古いですよ〜。
そういうがな、明治維新以来、それこそ日の出の勢いだった日本が、結局第二次世界大戦の敗戦国になる、ターニングポイントとなった出来事じゃからの、この戦争は。現代にもダイレクトに繋がっておるぞ。
へ?そうなんで。
なにせ、負ければ植民地化が必定の戦争、皆必死に戦った。お前さんが名前を挙げた両将をはじめ、当時の軍の神がかり的な活躍でなんとか引き分けに持ち込んだんじゃが・・・。
ありゃ、あの戦争は勝ったんじゃなかったんで?
青色吐息でなんとか引き分けにしてもらったというのが実情じゃ。で、それを国内では勝ったってことで喧伝しちまったもんだから、おかしくなっちまったんだな。
はぁ〜。
勝ったと思っている人間にはポーツマス条約は受け入れ難かった。結果、国民の政治不信や軍の先鋭化の土壌を築いてしまったんじゃよ。
で、その結果、軍国化が歯止めなく進んでいったと。
そういうことじゃ。なにせ、清・ロシアという2つの大国に勝ったということになっておったんじゃからの。強気一辺倒じゃよ。
でも日清戦争は「勝利」だったんでしょ?
勝ったは勝ったがな、清という国に勝ったのかというと、これは疑問じゃ。
こちらも、なんか訳ありで。
うむ。当時「清」は1つの国家として機能しとらんかったからのぉ〜、どちらかというと、李鴻章の軍閥と戦ったというのが正しいんじゃよ。
はぁ〜。
いずれにしても、日露戦争は近代日本史のターニングポイントじゃ。
なるほどねぇ〜。
でな、世界史的にも大きなインパクトがあった戦争でもあるんじゃ。
そうなんで。
1902年の日英同盟をへて、1905年の日露戦争の終結。これで、日本がアジアの国で初の国際政治のプレーヤーとして認知された。
なるほど。
で、講和の仲介をしたのが、米、英、仏。ポーツマス条約のお膳立てはルーズベルトじゃ。
ふんふん。
史上初めて、ヨーロッパ、アジア、アメリカという3つの地域が1つの歴史を編んだんじゃ。結果、これを境に国際政治のグローバル化が大きく進展した。
なるほどねぇ〜。それまでは「国際政治」っつても、お隣同士のお付合いだったんですね。
そういうことじゃな。でな、日露戦争はその後の戦争の戦術にも大きく影響を与えておるんじゃ。
そりゃまた、どういう?
日露戦争においてロシア軍は当時、新兵器であった機関銃を使用したんじゃがな
はぁ〜、機関銃が新兵器だった。
そうじゃ。じゃから、戦車も戦闘機もない時代じゃ。でな、機関銃を装備したロシアの要塞を攻めるのに日本軍はどうしたと思う?
へ?・・・・さ、さあ?
ただひたすら突撃した。
生身で?
無論。
じゃ、ひとたまりもない。
そりゃもう、殺されに行くようなもんじゃ。
ひゃぁ〜。
で、ひたすら突撃を繰り返した。で、なんとか攻略していったんじゃが、各地で毎度毎度その「戦術」でやっておったわけじゃから、人的被害は甚大じゃ。
そりゃそうでしょう。
しかし、日本軍が難攻不落のロシアの要塞を攻略したという実績は残ってな
へえ、
第一次世界大戦で、各国がこれを真似したんじゃ。
うわぁ〜。
第一次世界大戦ではとにかく人が死んだ。無論、戦争には戦死者がつきものじゃが、この戦争の戦死者はけた違いじゃ。
たまったもんじゃないですね、そりゃ。
で1918年に、第一次世界大戦が終結したが、人的、物的に各国を疲弊させた戦争のインパクトで19世紀的な価値観は終焉を迎え、20世紀の真の幕開けとなる訳じゃ。
なるほどねぇ〜、いや〜今日は歴史の勉強をさせてもらいましたよ
何を言っている。今、話したじゃろう。ここからが20世紀の歴史の真の幕開けじゃ。本題はこれからじゃぞ。
へ?
20世紀を振り返れといったのはお前さんじゃろうが。
じゃ、今までのは。
なに、ほんの前ふりじゃ。ここからが本番。源さん、今日は帰さんからな。
じ、冗談じゃないですよ〜、あっしゃこれから大掃除が・・・。
あ、これ、どこへ行く。
だって、そんなの聞いてた日にゃ、日が暮れちまうどころか、年が明けちまいますよ。
うむ〜、せっかくのって来たんじゃがのぉ。
ああ〜、世紀が変わってもご隠居の長話は変わりそうにもない〜。




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