ご隠居 | 源さん |
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え〜と、前回の予告によりますと「科学的迷信」シリーズもいよいよ最終回で今日のは環境問題にまつわる話でしたよね。 | |
うむ、そうじゃったの。 | |
あ〜でも、あっしゃ苦手なんですよね、その手の話は。いまだに燃えるゴミと燃えないゴミの区別も怪しいくらいでして。 | |
それじゃ! | |
へ? | |
それなんじゃよ、源さん、お前さんは正しい。 | |
へ?へ?へ? あっしが・・・正しい?? |
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いまどきゴミを「燃える」「燃えない」で分けるのが、そもそもおかしいんじゃよ。 | |
って言いますと? | |
ちゃ〜んと高温で燃やしてやればな、「燃えるゴミ」だろうと「燃えないゴミ」だろうと、きっちり灰に出来るんじゃ。 | |
じゃあ、燃えないゴミは・・・。 | |
燃えるんじゃ。 | |
はぁ〜。あ、でもあれでしょ、ダイオキシンとか有害物質が出るんじゃあないんですかい。 | |
今のように「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」とか称してな、ただ燃えやすいものに火をつけるだけの「でっかい焚き火」のような焼却方法ではそうじゃ。 | |
やっぱり。 | |
しかしな、1000度を越えるような高温で、かつ炉内の温度管理をしっかりしながら焼却すれば、何を燃やそうがダイオキシンは発生せんのじゃよ。 | |
えっ、そうなんですかい。そんなことが本当に出来るんで。 | |
出来るも何もドイツなどでは実際にそういった高規格焼却炉が稼動中じゃ。 | |
ありゃ。じゃあ、海の向こうではもう、実用化されていると。でもなんか、お金がかかりそうですね〜。 | |
確かにそれはある。がな、現在の施設に比べて2割ほど割高になるだけじゃ。 | |
じゃあ、そんなに変わらない。 | |
しかもじゃ、灰にしてしまうのでゴミのかさはグッと減るし、温度管理をきっちりすることでごみ焼却熱の発電への本格的な利用も可能になる。 | |
結構な話じゃないですか。なんで日本ではやらないんで? | |
本邦の環境政策は残念ながら、どうも夢追いがちといおうか口当たりのよいものにかたよって、実効性は2の次といった傾向があるのぉ。 | |
はぁ〜。 | |
「クリーンエネルギー」とか、「皆でゴミを分別してリサイクル」とかな、理念はりっぱなものが目白押しじゃよ。 | |
う〜ん。 | |
例えばじゃ、アルミ缶を分けて捨てて、それで皆、リサイクルした気になっておるじゃろ? | |
へえ。 | |
ところがな、本来の意味のリサイクルはその先じゃ。 | |
アルミ缶を集めて溶かしてまたアルミにするという・・・・。 | |
そう。本当に大事な部分はそうやって、わしら一般市民には、おぼろげなイメージとしてしかわからんじゃろう? | |
まあ、あとはよろしくってなもんで。 | |
ところがな、アルミ缶なんてのはいくら集めても2度とアルミとしては使用できないんじゃよ。 | |
へ?そうなんで。 | |
側はパコパコしておるが、口をあける部分はある程度、硬度があるじゃろ? | |
カシュッとしなきゃなりませんからね。 | |
つまり、別種の金属が1つの缶で使い分けられているということじゃ。あんなもん溶かしてもどうしようもない。 | |
ありゃりゃ〜。 | |
だからな、そんなもん、とっとと、燃やしてしまえばいいんじゃよ。 | |
ずい分乱暴で。 | |
現在の技術水準ではそれが、最も妥当な選択だと思うんじゃがのう。 | |
でも、そうなるとゴミ出しが楽になるんであっしは嬉しいですよ。 | |
こらこら、だからと言ってごみの量を減らす努力は怠ってはならんのじゃ。 | |
なるほど。しかし、お話を聞いてますと、今の世の中、ずい分おかしな方に向かってるんですね〜。 | |
こないだから話をしている「科学的迷信」ともいえる現象の全てに共通している事なんじゃが世間で「錦の旗」が振りかざされているときは、その方向が正しいのかどうか、冷静に考えると言うことが本当に大事じゃ。 | |
う〜ん、年寄りの知恵ですねぇ〜。 | |
こりゃ、まじめに聞かんかい。 | |
へっへ、申し訳ねぇ。 | |
昔の、 | |
へえ。 | |
昔のヨーロッパで「魔女狩り」が行われたのは知っておるじゃろ? | |
こりゃまた、ずい分、昔に飛びますね〜。へぇ、聞いたことぐらいはありますが。 | |
実はそのとき、狩られたのは魔女だけではなかったんじゃ。 | |
まだなんか、あったんで? | |
魔女につき物の動物がおるじゃろ。 | |
魔女につき物・・・・こないだうちの娘が見ていたビデオで「魔女の宅急便」ってのがありましたが、主人公の女の子のペットが確か黒ネコ・・・。 | |
大ピンポンじゃよ、源さん。 | |
じゃあ、ネコが狩られたんで? | |
そうなんじゃ。 | |
そりゃまたネコ達も災難でしたね。 | |
かたっぱしから殺された。で、どうなったと思うかい? | |
へ?どうなったて・・・・え〜と、ネズミが喜んだ・・・なんちって。 | |
おお、またまた大ピンポンじゃよ、源さん!今日はさえとるのぉ。 | |
ありゃま〜、正解なんで。 | |
そう。天敵がいなくなったネズミは、我が世の春を謳歌し、大繁殖。 | |
増えっぱなしで。 | |
しかるのち、ヨーロッパ中でペストが猛威を振るうことになるわけじゃ。 | |
うひゃ〜、そこに繋がるんで。 | |
な、錦の旗の方向には常に気をつけるべしじゃよ、源さん | |
しかし、あっしゃ、人を疑う事を知らないイノセントな男ですからね〜。 | |
おいおい、自分で言ってちゃ世話ないよ。 |