温故知新 2001.08.15

45.楔状欠損

 若い人にはまれな欠損です。30歳を過ぎると多く見られる欠損です。しかもどちらかといえば、潔癖性の強い人に多いようです。
 歯は、歯冠(表面に出ている部分)と歯根(あごの中に埋まっている部分)から成っています。一般的に、健康な歯齦(しぎん=はぐき)を維持できるのは25歳頃までで、それ以降は歯齦が生理的に退縮し始めます。歯齦が退縮すると、歯根が露出することになり、極端に歯齦が退縮すると値上がり松のような格好になります。
 歯冠は琺瑯(ほうろう)質で掩(おお)われていて非常に硬く、ブラッシングで摩耗することはあってもごくわずかで、あまり問題はありませんが、歯根は白亜質で出来ているために軟らかく、ちびやすいのです。そこで、潔癖性の強い人が強く水平にブラッシングを毎日続けることは、ちょうど、ノコギリをひいている状態と同じ結果になり、歯冠と歯齦の境界の部分がV字形に切れこんできます。しかも、このV字形の切れこみが多数、歯にみられるようになります。これを楔(きつ)状欠損といいます。
 水平運動の歯みがきはやめて、正しいみがき方を勧めるのは、楔状欠損を防止する意味もあるのです。



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