温故知新 2001.02.28

21.差額廃止と医の倫理

 厚生省は昭和51年8月1日から差額診療廃止≠発表しました。
 この決定は金持ちと貧乏人に、歯科医療を二分し、差別することを意味します。しかも、すでに発表された自費診療の標準料金は、大学病院並みということです。大都市ではいざ知らず、これまでの地方の一般料金と比較して、むしろそれよりも高い料金に決まりました。今回の決定によって、一般的に、また元のわくにしばられた、質の低い保険診療に逆もどりする心配があり、これまで、せっかく質を高めて来た現代の歯科医療が後退することになりはしまいか?。歯科医として憂います。
 少しでもよい医療を受けたいし、また与えたいと願うのは、患者と医師の間に生ずる自然な欲求であり、そこから差額診療は生まれ、一部に問題もありましたが、総合的にみて、存在価値は十分にありました。それを廃止することは庶民感情を無視した決定とも言えます。本来、医療は、患者と医師の当事者間の信にあり、第三者(保険者団体、その他行政機関)が介入すべきものではありません。
 医の倫理≠ニは例えそれらの規制を超えたとしても病気と対決することであると思います。



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