温故知新 2001.01.17

15.一元化望む理由

 保険制度の目的は、相互扶助の精神につきます。当初、この目的から保険制度は出発したはずです。ところが現実には、そうなっていません。
 ご承知のように保健団体は共済組合保険、略して共済≠ニ、各企業体が組織する健康保険組合、略して組合≠ニ政府管掌健康保険組合、略して政官≠ニいわゆる国民健康保険組合、略して国保≠フ四つに大別されると思います。
 それらの中で特に共済≠ニ組合≠ヘ大組織や企業体に支えられ、しかもキビシイ採用試験を経て選ばれた人たちの集まりで、いわば現代社会のエリートに属します。その上に二十歳ごろから定年まで、人生の最盛期の集合体ですから病気は少なく、支払われる保険料は高く、医療費を支払ってもなお余りがあり、全国各地に保養施設を造れるほど、資金量も豊富です。
 他方、未組織労働者や零細企業の集合体が政官≠ナあり、定年以後の老人や若年労働者の集合体が国保≠ナあり、しかも政府や県市町村の援助資金によりどうにか存続している状態です。資金の豊富な共済≠竍組合≠ェセクト意識を捨て、全体が一つの組織にならないかぎり、保険制度の発展はないと思います。



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