補綴(ほてつ=義歯を製作すること)を専門の仕事にしている人を“技工士”といいます。もともと“治療”と“補綴”は歯科医の仕事ですが、近代歯科医療が進むにつれて、その内容は分科し、歯科医師の指示通り補綴に専従する“技工士”が必要になりました。
以後、“技工士”は近代歯科医療の中で、重要な役割を果たすようになりました。にもかかわらず、その養成のほとんどは徒弟制度にたより、しかも正式には資格のない職業として昭和31年まで続きました。
昭和30年8月、政令による“歯科技工士法”が施行され、昭和31年、特令法による資格試験が実施になり、ようやく“技工士”の資格が生まれました。
現行では、高校卒業後2年間の学校教育による歯科技工学を修了後、資格試験を受ける制度になっています。
なお、勤労青年のために、大半の県に歯科医師会立の学校が開設されており、これらの中で夜間学校に限り、修業年限は3年になっています。
資格取得後、今日では歯科技工所(ラボラトリー)として、独立した存在も多く見られるようになりました。