温故知新 3 2000.10.17

3.歯学は私学から

 近代医学がドイツ医学を学んで発達してきたことは、一般的によく知られていますが、近代歯科医学≠ェ、アメリカから導入されたことについては、あまり知られていません。
しかも官尊民卑≠フ強いわが国において、歯学≠ヘ私学によって基礎がつくられたことは特筆すべきことです。
 歯科医師第一号、小幡英之助(大分県出身)は、福沢諭吉の門下生から身を起こし、近代歯科医学≠米人に ついて習い、わが国最初の歯科医師になった人です。その後、私塾を中心にして近代歯科医学≠ヘ発達しました。
 これらの私塾は、明治四十二年にようやく、文部省令による専門学校になり、歯科医の養成にあたりました。
それから二十年近くおくれて、昭和四年、官学の東京高等歯科医学校(現東京医科歯科大学)が開校になったことは、当時の風潮が、いかに歯科医学に対する認識が薄く、しかも消極的であったかを正直に物語っています。
 昭和二十三年、学校制度の変革を契機にして、時代の要求もたかまり、歯科大学は増設される一方、国立大学にも歯学部が併設されるようになり、機械器具の発達と平行して今日に及びました。



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