日本伝統の文化は木と竹と紙の文化≠セ、と評した西欧人がいます。
歯科医療についてもこのことは言えます。
明治より前、古い時代の歯科医療には、事実、金属が使用されていませんでした。
残っている昔の義歯(入れ歯)を見ると、このことは理解できます。
ツゲの木、カキの木、ホウの木等々をくりぬいて作られていました。
中でも徳川幕府の剣術指南役、柳生公が使用したと伝えられる木彫りの義歯が特に有名です。
明治になって、金属ことに黄金≠主として使用する近代歯科医療≠ェアメリカから導入されました。
近代歯科医療≠ニは現代歯科医療≠フ基礎になるもので、穴のあいた歯に充填(つめる)したり、
インレー(鋳造物)で歯形を原形に回復したり、冠(金属で歯を覆う)をかぶせたり、架工義歯(ブリッジ)
を作ったりする技術のことです。
一般に西欧文明と言われているように、大半の学問や技術がヨーロッパから明治の初めに導入されたのに
比して、近代歯科医学はアメリカから導入され、しかもその時期が明治後期であったことなど歯科医学が
比較的に若い医学であり、一般医学とその生い立ちを異にしています。