【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第50回
演 題 すれ違い咬合をインプラント補綴によって咬合再構成を行った症例
演者名 山部英則
日 付 2004年7月27日
key word
1. Restoration-driven implant placement
2. すれ違い咬合
3. 2回法インプラント
4. 前歯部インプラント
5. 審美修復
6. 結合組織移植
7. 骨膜メンブレン
抄 録
再初診時残存歯は76543
32112345ですれ違い咬合を呈していた。欠損部位である
21 1234567および7654 67には約2年半ほど前に当院で義歯を作製、装着していた。しかし、すれ違い咬合であったため、満足でき得るような咀嚼咬合は得られておらず、さらに下顎義歯は最近ではまったく使用されていないような状態であった。そのためインプラント治療によりとりあえず左右のどちらかでよく咬めるにしたいということであった。
そこで7654部にインプラントを植立し、右側臼歯部にしっかりとした咬合支持を与えることによって片側ではあるが咬合の安定を図った。それにより咀嚼機能も非常に満足していたただいたが、さらに上顎の義歯も使用したくない、左側でも右側のように咀嚼できるようになりたいということで、上顎欠損部および下顎左側臼歯部欠損部にもインプラント修復治療を希望された。特に前歯欠損を含む上顎は審美性も含めて希望に応える事が可能であるか(固定式の補綴処置で)、パノラマ写真、CT撮影、顎堤の形態、旧義歯を参考にした蝋義歯作製等の診査を行った結果、固定式補綴処置にて前歯部の審美性も得られると診断したため、Restoration-driven implant placementの概念に基づき、1 1 3456にインプラントを植立し、インプラントのみによる補綴処置を行った。さらに下顎6にもインプラントを植立し左右両側臼歯部にしっかりとした咬合支持を与えた。現在はメンテナンス中であるが、機能的、審美的にも満足した結果が得られているものと思われる。
今回は本症例における、おおまかな治療計画→診査・診断→最終治療計画→インプラント植立→硬・軟組織の処置→プロビジョナルレストレーション→顎位の確認→最終プロビジョナル→最終補綴物装着までの一連の治療過程を供覧させていただき、先生方のご意見を頂戴したいと思います。