【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第45回
演 題 矯正治療におけるアンカレッジコントロールの新しい流れ-MIA(Micro Implant Anchorage)を中心として-
演者名 池上富雄
日 付 2004年2月24日
key word
1. MIA(Micro Implant Anchorage)
2. SAS(Skeletal Anchorage System)
3. インプラント矯正
4. アンカレッジ(固定源)
抄 録
矯正治療に於いては従来からアンカレッジ(固定源)の確保が治療の成否を決める重要な要素となってきました。これは、歯列弓内の歯牙に固定源を求める限り作用、反作用の法則に基づき固定源となる歯牙にもある程度の影響が及びアンカーロス(固定源の喪失)が引き起こされると言う事実に基づいています。矯正家はこのアンカーロスが僅かであっても許されないケースをシビアーアンカレッジケースと呼んで如何にアンカーロスを最小限にとどめるかに腐心してきました。
このアンカーロスは顎内に固定源を求める限り従来の方法では完全に防ぐことは不可能であり、そのためにHeadgearに代表される顎外固定装置を併用して固定源の加強(加強固定)を試みてきました。しかし、この方法を用いても患者の協力程度に依存せざるを得ないという問題点があり、結果として不安定な治療結果を容認せざるを得なかったのです。
近年になってこのような問題を解決するために歯槽骨にインプラント体を埋入して固定源とする考え方が急速な広まりを見せ、上記のような問題を一挙に解決しうる方法として注目を集めています。当院でも昨年よりこの方法を本格的に取り入れ現在多くの症例に応用していますのでその一端を御紹介すると同時に先生方の御意見をお聞かせいただきたいと思います。