【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第44回
【熊本S.J.C.D.例会 抄録】
演 題 抜歯即時インプラントについての一考察
演者名 山部英則
日 付 2004年1月27日
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抄 録
抜歯即時インプラントの利点として治療期間の短縮、患者負担の軽減、骨吸収の制御、さらには唇側骨板の吸収が無い場合にはノンフラップで行えば優れた審美性の獲得、等があげられよう。欠点としては唇側辺縁歯肉の位置がどのくらい変化するのか正確に予測することは困難である。そのため、特に審美的要求の高い部位(前歯部)に抜歯即時インプラントを選択する際には、現存する歯牙の形態、乳頭、歯肉の質、高さ、厚さ、骨質、唇側の骨の高さ、厚さ、などを考慮し、より慎重に行う必要があろう。
演者は数年前にてAAPにてSalama,Garberらの前歯部への即時埋入インプラントの美しさをみて驚嘆したが、外人とは骨の厚みも違うし、その後の予後はみていないので予知性はわからない(当時は有根型でなるべく抜歯窩ぎちぎちに埋入すれば良いと思っていた)。しかし昨年Dr.Grunderの講演では抜歯即時は審美的に有利であるがテクニックやContaminationの問題があると述べていた。さらにインプラントの予知性を考えると唇側には2mm以上の骨が必要であり、予知性を考えると抜歯即時の適応症はかなり少ないと述べていた。ということは、日本人の顎骨では審美性が非常に要求される部位での適応症はかなり限られてくると思われる。
自分の臨床では残念ながら前歯部の症例はまだないが、それ以外の部位では唇側の骨の厚みが確保でき、しかも埋入すべき深さにおいてインプラントのマージン部が骨壁に囲まれていれば抜歯即時インプラント法は有効な手段であると自分は思っている。まだ数は少ないが自分の臨床を通して考察してみたので、諸先生方のご意見を賜りたいと思います。