【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第15回B
演 題 Implant Anchored Orthodontics
演者名 前田英俊
日 付 2001年5月22日
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抄録
上顎前突を伴う口唇の閉鎖不全(Gummy Smile)を主訴とする患者の治療に際し、矯正治療による上顎前歯の遠心への牽引のみでは十分な治療効果を得られない場合も多い。すなわち、Gummy Smileを改善するためには上顎前歯の圧下が必要であるが、これは従来の矯正治療の術式では非常に困難な処置であるとされてきた。
このような症例に対しては上顎、もしくは上下顎の骨切術を併用した矯正治療が不
可欠であるが、大掛かりな外科的術式に対する患者の心理的抵抗も大きい。Ortho Anchor K1 Systemはこのような症例において、矯正用ミニインプラントを固定源とする事により効果的な前歯の圧下を行い、大掛かりな外科的手技を用いる事なくGummy Smileの改善を行うことが出来るシステムとして新たに登場した。
今回の報告ではGummy Smileを主訴とする実際の症例を通し、その実際的な診断のための分析方法と、治療に用いられる様々な治療オプションおよびOrtho Anchor K1 Systemを用いることにより外科矯正をreplaceできるかについて、VTOおよびセットアップモデルを用いて考察を加えた。その結果、患者の主訴を叶えるためにも、医療技術の向上にあわせてマテリアルの手技を学ぶ事よりも、一口腔および顔貌全体の評価を正しく行い、最良の治療ゴールを考察したうえでファイナルがどのようになるかを明確にし、それに伴うメリット・デメリットを術者が確実に理解している事が重要ではないかと思われた。
諸先生達の御指導、御助言をよろしくお願いします。